2025年4月13日(日)に大阪で開幕した2025年日本国際博覧会、通称「大阪・関西万博」。皆さんはもう来場されましたか?開幕以来、高い関心があり連日賑わいを見せています。会場では独特な雰囲気で人気を集める公式キャラクター「ミャクミャク」、各国の文化に触れられるパビリオン、大阪・関西万博の象徴でもある「大屋根リング」など注目ポイントが散りばめられています。そんな万博会場も夜になると日中のにぎやかさとは一味違う、唯一無二の夜景の楽園に姿を変えます。今回は、夜景写真家の中村勇太が大阪・関西万博を夜景の視点で魅力をご紹介します!
万博会場の入口は東ゲートと西ゲートがあります。東ゲートには夢洲駅があり大阪メトロ中央線でアクセスできます。シャトルバスでアクセスする場合は、西ゲートからの入場となります。ゲートを入り、まず目を引くのが大阪・関西万博公式キャラクター「ミャクミャク」のモニュメントです。すっかり人気者となったミャクミャク。ミャクミャクの姿は東ゲートと西ゲートで異なります。東ゲートでは、お辞儀姿で来場者をお出迎え。
西ゲートでは、手を広げて陽気な姿で愛嬌を振りまいています。人気の記念撮影スポットですので、空いていたら撮影のチャンスですよ。
また、会場内ではミャクミャクが描かれたマンホールがあります。是非、探してみてください。
西ゲートから進み、大屋根リングの手前に位置する「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」。注目はなんと言っても実物大ガンダム像です。高さは約17m。昨年まで横浜で開催されていたガンダムイベント「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」の動く実物大ガンダムを再利用し、「RX-78F00/E ガンダム」としてお披露目。腕を大きく振り上げる姿からは力強さを感じ、ファンはもちろん、ファン以外の方も惹きつけます。夜には目やボディが点灯し、まるで今にも動き出しそうです。
大阪・関西万博の象徴とも言えるのが「大屋根リング」です。建設面積は61,035.55 m²、高さは約12m(外側は20m)で、「最大の木造建築物」としてギネス世界遺産に認定されました。特に日没後は、繊細かつ壮大なライトアップによってその存在感が一層際立ち、木の温もりと未来的な光景が見事に融合します。
大屋根リング下は会場内の移動する通路であると共に、休憩スペースとしても利用できます。下から見上げると、木組みの力強さや構造の美しさが感じられ、訪れるたびにそのスケールに圧倒されます。
階段を上がると、大屋根リングの天井も真下まで近づけます。日本の伝統的な貫(ぬき)接合と現代技術を組み合わせた建築技法を間近で見られます。
大屋根リングは見上げるだけでなく、リング上に上がれるので、是非足を進めてみましょう。リングに上がった瞬間、万博会場を一望。リングの壮大さ、会場内のパビリオンの美しさを一目で実感できます。リングの上は歩道となっており、ぐるっと一周歩けます。その長さはなんと2キロ。厳密には2,025mで、2025年開催の数字に合わせているのも面白いですね。
20mの高さ、そして開放感、そこはまるで展望台。リング上を歩きながら、各国の独特なパビリオンを鑑賞できます。歩けば歩くほど、
リングから眺める夜景は会場内だけに留まりません。外側に目を向けると、パビリオンの奥にベイエリアや都心方面など大阪の夜景が広がっています。パビリオンなど万博施設のライトアップと大阪の街が共演する光景は、万博開催シーズンならではの夜景です。
万博の象徴とも言える各国のパビリオン。ここでは、パビリオンの夜の姿にフォーカスを当てて、ご紹介をしていきます。
「芸術は生命を再生する」をテーマにデザインされたイタリアパビリオン。大理石の彫刻「ファルネーゼのアトラス」など豪華作品が展示されていることでも話題を呼び、大阪・関西万博のパビリオンの中でも特に人気があります。私が注目したのは、パビリオン外からも見える「コロッセオ」を思わせる建造物 。大阪・関西万博の「大屋根リング」とイタリアパビリオンの「コロッセオ」、二つのリングが共演する姿が見事にマッチ。私は2018年にローマの夜景取材に足を運びましたが、その時の現地の風景が思い起こされました。
シンガポールパビリオンのテーマは「ゆめ・つなぐ・みらい」。パビリオンのデザインは、国旗に合わせて、赤と白を基調としたものとなっています。特に目を引く赤い球体は、シンガポールの愛称である「リトル・レッド・ドット」を表現したもの。球体をよく見ると、円盤を鱗状に貼り合わせていることを分かります。その数なんと約17,000枚。鱗状になっていることで、光が当たる部分と影のコントラストにより、表面が立体的に波打つような表情を見せてくれます。
真っ赤な外観のオマーンパビリオン。「水の大切さ」をテーマに、水にまつわることわざや、水から生命が誕生する様子を映像で見せる展示が披露されています。天井に水が流れていたり、外部では地面に水をイメージした映像を投影し、パビリオン全体でテーマを表現しています。
一際気合いが入っていると感じたのが、サウジアラビアパビリオンです。そびえ立つ椰子の木に加え、複数の建物が並び、建物の間には曲がりくねるような道が伸びていて、まるでサウジアラビアの街中を歩いているかのような感覚を味わえます。パビリオン内で行われるステージパフォーマンスや展示も見ごたえがありますが、特に注目したいのはその夜の姿です。ライトアップされたサウジアラビアの街並みが再現され、異国情緒あふれる夜景が広がります。なかでもおすすめなのが、大屋根リング上からの俯瞰。光に照らされた街並みの構造がより明確に浮かび上がり、その美しさが一段と引き立ちます。
「大きな幸福のため、いのちをつなぐタイ」がテーマのタイパビリオン。建物のデザインは、タイの伝統的建築手法「サーラータイ」を思わせる造りで、急勾配の三角屋根と、空へと伸びる独特の曲線が印象的です。夜になると屋根全体がやわらかい光でライトアップされ、優美なフォルムが幻想的に浮かび上がります。建物の側面にはミラー素材が効果的に使われており、光や周囲の建物が映り込むことで空間に広がりが生まれ、タイ独自の世界観をより深く体感できる演出となっています。さらに、大屋根リングの上から俯瞰すると、パビリオンの屋根全体が見渡せ、その美しいデザインを一望することができます。
中国パビリオンのテーマは「自然と共に生きるコミュニティの構築ーグリーン発展の未来社会ー」。そのテーマを体現するように、外観は中国の伝統的な書道の巻物を広げた形をモチーフにしており、非常にダイナミックです。「さすが中国」と思わせるスケール感と存在感があり、建物全体から中国の世界観とメッセージがしっかりと伝わってきます。
また、パビリオン内では中国の月探査プロジェクトで採取された、月の裏側の砂のサンプルが展示されており、宇宙開発における中国の最先端技術にも触れられます。伝統と未来――中国の多面的なビジョンが詰まった見応えのあるパビリオンです。
オーストリアパビリオンは、「音楽の国」らしい感性があふれる洗練されたデザインが印象的です。外観でひときわ目を引くのは、高さ約16メートルにもなるらせん状のオブジェ。これは五線譜や楽譜をモチーフにしており、空へと優雅に立ち上がるフォルムは、まるで未来に向かって音が紡がれていくような軽やかさと力強さを感じさせます。 夜になると、この螺旋のオブジェが柔らかな光に照らされ、曲線の重なりや空間の抜け感がより際立ちます。音楽が聴こえてきそうな雰囲気が漂い、光と建築による“音の視覚化”が見事に表現されています。
トルクメニスタンパビリオンは、「より良い明日を作り出す(Inspiring a Better Tomorrow)」をテーマに、未来への想いと民族的な誇りが調和した建築です。外観でまず目を引くのは、馬のシルエット。夜になるとこのシルエットが黒に反転し、昼間とはまったく異なる表情を見せてくれます。さらに、伝統的な絨毯の模様や、シルクロードを旅するキャラバンの姿など、外観全体にトルクメニスタンの文化や歴史が凝縮されています。個人的には、このパビリオンの外観の色彩がとても印象的で、外観面では今回の万博で特に気に入ったパビリオンでした。
万博の夜景の魅力はまだまだ語り足りませんが、ここで少し話題を変えて、万博グルメに触れてみたいと思います。ここからは、実際に私が会場内で味わったおすすめのフードをご紹介します。
皆さんお馴染みのスシローは万博会場にも展開しています。私が食べたのは「まるでシーフードな軍艦3貫」、「まぐろアボカドロール」、「まるでシーフードなサラダパフェ」。いずれも万博限定メニューです。旨みが詰まったマグロとまろやかなアボカドは相性がいいですね。いくらが好きなので、軍艦でもサラダでも食べられて嬉しいです。店内は森の中をイメージしており、落ちついた空間でお寿司を味わえます。各席には注文端末「デジロー」が設置されており、大型ディスプレイを活かしたゲームを楽しめ、大人も子どもも夢中になれます。
TECH WORLD(台湾パビリオン)の1階に「神農生活」が進出。万博限定の雑貨はお土産にもピッタリ。飲食は「點水樓」「台湾中華まん専門店 福珠」「台湾甜商店」「連珍」「洪瑞珍サンドイッチ」などと提携し、魯肉飯やマンゴーかき氷、台湾紅茶など、台湾の味を提供。店内に飲食スペースはありませんが、大屋根リング下の休憩スペースなど、万博風景を眺めながら台湾の味を楽しめます。
アラブ首長国連邦パビリオン内のレストランでいただいのはこちら。UAEスパイス「バザー」でマリネしたカナダイのグリル サローナとライス添え。ドリンクはラクダのミルクです。味はもちろん、彩りも豊かで満足。普段なかなか食べられないUAE料理を食べられて特別感もあります。
再び夜のシーンの話題へ。皆さん大好きな花火、実は万博会場でも打ち上がるんです。期間中毎月、日本を代表する花火大会が万博に参戦。花火師達が万博の為に製作する芸術玉を披露します。実施日は、4月26日(土)、5月31日(土)、6月28日(土)、7月21日(月・祝)、7月23日(水)、8月23日(土)、9月27日(土)、10月8日(水)の計8回。特に7月23日(水)はスペシャル花火なので注目ですよ。
近年、ますます注目を集めているドローンショー。大阪・関西万博の会場では、なんと毎日ドローンショーが実施されます。「One World, One Planet.」をタイトルに掲げ、「願い」をテーマに夜空を彩る光の演出は、まさに幻想的。約1,000機のドローンによって繊細かつダイナミックに描かれる空中アートは、訪れた人々を魅了します。ドローンショーは会場内のさまざまな場所から鑑賞できますが、一般的には「ウォータープラザ」正面エリアが定番の観覧スポット。また、大屋根リング上からの鑑賞は、大阪・関西万博ならではの特別な体験です。
いかがでしたでしょうか。大阪・関西万博の夜の魅力を、ライトアップされたパビリオン、迫力の花火ショー、幻想的なドローンショー、そして美味しい世界のグルメといった多角的な視点からご紹介しました。
昼間の万博ももちろん見どころ満載ですが、夜にはまるで別世界のように姿を変えます。煌めく光と音に包まれた万博会場は、まさに“未来のテーマパーク”。現地取材を通して体感した筆者としても、「やっぱり万博最高!」と心から感じられる体験ばかりでした。
夜間入場が可能なお得なチケットも販売されていますので、夜景を目的に訪れるのもおすすめです。ぜひ五感をフルに使って、大阪・関西万博の夜を存分に味わってみてください。きらめく万博の夜が、皆さんをお待ちしています。
イベント名 | 2025年日本国際博覧会 |
開催期間 | 2025年4月13日(日)〜10月13日(月) ※全184日間 |
開催場所 | 大阪・夢洲(ゆめしま) |
公式サイト | 2025年日本国際博覧会 公式サイト |
ライター名 | 夜景写真家 中村勇太 |
プロフィール | 日本夜景オフィス株式会社代表取締役。日本と台湾を取材する夜景写真家。夜景コンサルタント®。夜景情報サイト「夜景FAN」編集長。夜景撮影セミナー講師、ガイド・解説、テレビ・ラジオ番組出演、記事執筆、企画監修等、夜景に関することであれば何でもお任せ下さい。 |
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夜景写真家 中村勇太公式サイト 夜景FAN | 夜景写真家・フォトグラファー 中村勇太 |
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配信日 | 2025年05月17日 21:16 |
更新日 | 2025年05月17日 21:55 |