こんばんは!夜景写真家中村勇太です。日本で人気のスマホブランド「iPhone」。最新機種が発表、発売される度に話題となりますね。今回はiPhoneの最新・ハイスペック機種「iPhone 15 Pro Max」の夜景撮影シーンにおけるカメラ性能をご紹介します!
iPhone 15 Pro Maxには3つのカメラが搭載されています。超広角カメラ、メインカメラ(広角カメラ)、望遠カメラという構成です。「iPhone15 Pro」と「iPhone15 Pro Max」のカメラスペックの差は望遠カメラにあります。iPhone15 Proの望遠カメラは3倍(77mm相当)なのに対して、iPhone15 Pro Maxの望遠カメラは5倍(120mm相当)。
超広角カメラ | 焦点距離 13mm相当 約1,200万画素/F2.2 |
メインカメラ | 焦点距離 24mm相当 約4,800万画素/F1.78 |
望遠(光学5倍) | 焦点距離 120mm相当 約1,200万画素/F2.8 |
iPhone15シリーズと14シリーズの外観はぱっと見では大きな違いは感じませんが、変更点もあります。主に「USB-C端子の搭載」「チタン製フレームの採用」「アクションボタンの搭載」の3点です。USB-Cで充電する機器が増えている中、従来のLightning(ライトニング)からUSB-C端子への変更は朗報ではないでしょうか?チタン製フレームは質感がよく高級感が感じられそのまま持ちたい・・・ですが、大抵の場合ケースを装着しますよね。このチタン製フレームが感じられるケース選びをしたいです。アクションボタンは音量ボタンの上に配置されたもの。「設定」アプリから、アクションボタンの動作を指定することができます。私はアクションボタンを押すとカメラアプリが起動するように設定しました。
13mm相当の超広角カメラ。街を俯瞰、大きな建物を真下から撮影するシーンなど夜景撮影でも使用したい画角です。大観覧車を見上げるように撮影。iPhoneで撮影する夜景は彩度が自然に感じます。観覧車はシャープに見える一方、周辺部の画質は気になります。スマホ画面での閲覧でも私は気になりますが、人によっては気にならないレベルでしょう。
24mm相当のメインカメラは3つのカメラで最も高パフォーマンスを発揮するカメラです。ビルの細部までシャープで、パソコンやスマホの画面内で一眼カメラで撮影した写真と並べても一見差を感じないクオリティーです。もちろん、センサーサイズの差により、拡大をして粗探しをすれば差を感じることはできますが、iPhone15の購入層はそこまで求めていないはずです。
また、メインカメラでの撮影時は「設定」アプリ内のカメラ設定を行うことで、2,400万画素での撮影、HEIF、ProRAW形式による4,800万画素での撮影も行えます。
前シリーズから最も変化を感じることができるのは望遠カメラです。望遠性能は、iPhone14 Pro Maxや15 Proが3倍(77mm相当)なのに対して、15 Pro Maxは5倍(120mm相当)へ。ビルの窓や輪郭など細部もシャープ。ノイズも目立ちません。この焦点距離はイルミネーションや工場夜景の撮影シーンでも活用できそうです。ただし、望遠での撮影時はブレやすいので、特にシャッタースピードが落ちる夜景撮影時はブレに気をつけてください。
ここで、14 Proと15 Pro Maxの望遠撮影性能を比較したいと思います。
横浜のベイエリアにて撮影。夕方、明かりが灯る街の奥に富士山のシルエットが浮かび上がる光景を撮影。圧縮効果で富士山を引き寄せます。3倍望遠+デジタルズームを活用して5倍で撮影。ノイズが目立ち、ビルの細部の表現が粗い印象です。
続いて、iPhone 15 Pro Maxの望遠カメラ。デジタルズームを活用しなくてもここまで寄れます。ビルの窓など細部まで表現できています。ノイズも目立たず、5倍望遠の性能が活きるシーンでした。
メインカメラは焦点距離は24mm相当ですがワンタッチで28mm、35mmへ切り替えることができます。カメラアプリ上でメインカメラの「1」「1x」をタップすると24mm→28mm→35mm→24mmと切り替わっていきます。
運河の奥に高層ビルがそびえる夜景を撮影するシーン。メインカメラの標準画角だと右に建物が中途半端に写ってしまいました。
28mmへ変更して構図内をスッキリさせました。
さらに35mmへ。あえて空を広めに入れる状況ではないのでこれくらい寄りたいです。24mm→28mm→35mmという焦点距離の切り替えをワンタッチで行えるのは便利だと思いました。ただ、画角の調整はカメラアプリ内でピンチイン、ピンチアウトでも行えるので便利かどうか、評価は人によって分かれるかと思います。また、24mmから28mm、35mmへ焦点距離を伸ばす分はデジタルズームとなる点は理解しておきたいですが、メインカメラでのデジタルズームは画質の劣化をそれほど感じさせないので、試しながら活用していくと良いかと思います。また、「設定」アプリのカメラ設定で、メインカメラのデフォルトの焦点距離を「28mm」「35mm」に変更することも可能です。
iPhoneユーザーの方、カメラのナイトモードを活用されていますか?もしかすると「?」となる方もいるかもしれません。というのも、Androidスマホのカメラアプリには「夜景モード」「ナイトモード」といったモード切り替えの表示があるのですが、iPhoneのカメラアプリ上にはそのような表示がないのです。iPhoneの場合、被写体が暗いとそのシーンをiPhoneが判断して自動的にナイトモードで撮影するような仕組みとなっています。
こちらがiPhone15 Pro Maxのカメラアプリです。カメラアプリ上の赤く囲んだ場所がナイトモードを示す表示です。色が黄色で、秒数が表示されていれば夜景撮影モードが有効となっています。この秒数は被写体の明るさによって変化します。表示された秒数は撮影に要する時間です。このシーンではiPhoneが1秒と判断しました。シャッターボタンをタップすると、1秒かけて撮影、処理が行われます。
ちなみに、ナイトモードを示す表示をタップすることで、ナイトモードの有効、無効を切り替えることができます。
iPhone 15 Pro Max、標準カメラアプリ、夜景モード
夜景撮影モードで撮影した写真がこちら。通常モードで撮影した写真よりも明るく撮影できたことが分かりますね。暗さによっては秒数が「2秒」「3秒」と変化します。この秒数に関して、誤解をされている方が多いですが、この秒数というのは露光時間ではありません。表示された時間の中で複数枚写真を撮影して合成する処理を行っています。
通常モードで撮影する写真とナイトモードで撮影する写真を比べてみます。まずは通常モードから。横浜の歴史的建造物を撮影。街中で街灯が建物を照らしますが、もう少し明るくても良い印象です。
続いて、ナイトモードで撮影した写真。ノイズレスで明るく撮影できました。通常モードで露出を上げて撮影するようりも、自然、かつノイズが少ない仕上がりになります。
夜景、イルミネーション撮影でも相性の良いポートレートモードをご紹介します。ポートレートモードを活用することで、主題の背景を簡単にぼかすことができます。
横浜ベイエリアの公園にて、象の置物を撮影します。カメラアプリ内でポートレートモードに切り替え。ポートレート撮影モードの画面では、被写界深度を調整できます。被写界深度は普段一眼レフカメラで撮影されている方にとっては馴染みがあるものですね。画面上でF値を下げるほど、ぼかしが強くなります。逆にF値を上げていくとぼかしが弱くなります。ここではF2.8で撮影。一見、レンズの絞りを調整しているような感覚になりますが、先ほど述べたとおり、これらの処理をソフトウェアで行っています。
iPhone 15 Pro Max、標準カメラアプリ、ポートレートモード
ポートレートモードで撮影した写真がこちら。背景がボケて象の姿をした置物の存在を際立たせています。玉ボケも綺麗に表現できています。これは前シリーズの時も感じましたが、iPhone 15 Pro Maxもぼかしの処理は非常に綺麗で不自然さは感じません。イルミネーションのシーンでも積極的に活用できます。
iPhoneのカメラはゴーストやフレアが出やすいという声を度々耳にします。確かに、私もそれは感じていました。特にフレーム内に強い光源がある場合、iPhoneに限らず、一眼カメラなどどのカメラでも発生することはあります。完全に防ぐことは難しいですが、どこまで抑えられるかはレンズのコーティング技術で差が生じます。iPhone 15 Pro Maxではどうなのか、見ていきましょう。
検証するために構図内にあえて強い光源を入れました。ゴースト、フレアがしっかり入っています。
悪条件での検証写真を15 Pro Maxでの写真だけ載せるのは不公平と感じますので、同じ条件でGalaxy S22 Ultraでも撮影。すると、S22 Ultraでもしっかり入っています。このように、ゴーストもフレアも出るときは出ます。このような場合は、街灯を外すなど構図を工夫して対応するのが良いです。
ここまで、主に夜景撮影のシーンでのiPhone 15 Pro Maxのカメラ性能をご紹介させていただきましたがいかがでしたか?iPhone 15 Pro Maxは夜景撮影のシーンでも頼りになるスマホです。個人的な感触としてはiPhone 14 Proをお使いなら、超広角カメラ、メインカメラに関しては進化を感じづらく、15シリーズ以降に期待しても良いかと思います。ただ、普段の撮影で望遠3倍に物足りず、望遠5倍(120mm相当)を積極的に活用できるシーンがありそうなら買い換えもありです。
ライター名 | 夜景写真家 中村勇太 |
プロフィール | 日本夜景オフィス株式会社代表取締役。日本と台湾を取材する夜景写真家。夜景コンサルタント®。夜景情報サイト「夜景FAN」編集長。夜景撮影セミナー講師、ガイド・解説、テレビ・ラジオ番組出演、記事執筆、企画監修等、夜景に関することであれば何でもお任せ下さい。 |
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配信日 | 2024年01月29日 20:44 |
更新日 | 2024年01月29日 20:55 |