梅雨時の夜景は、雨で濡れた道路や石畳には街の灯りが映り込み、まるで光が広がるような幻想的な光景が広がります。車のテールライト、街灯の光など、あらゆる光が水面に反射して、まるで二重の世界を描き出します。さらに、雨にけむる夜景は空気に湿度が含まれることで光が柔らかく拡散し、しっとりとした情緒的な雰囲気を作り出してくれます。人通りも少なくなるため、落ち着いて撮影できるのも魅力。傘越しのシルエットや、水たまりに映る逆さの街並みを狙うなど、工夫次第で印象的な一枚を生み出せる季節です。そんな梅雨時の夜景の切り取り方を、夜景写真家 中村勇太が解説していきます。
雨の日は夜景撮影を諦めやすい。しかし、展望台に登ると、展望台が雲に覆われ、幻想的な光景となることもあります。
展望台が雲に覆われると幻想的ですが、都市夜景の撮影としてはもう少し街明かりをしっかりと写したいところ。雲が適度にはけたタイミングを狙うと良いです。
次に、雲が適度にはけたタイミングを狙って撮影した1枚。街の明かりをしっかり写しつつ、街を覆う雲が幻想的な光景を演出しています。
綺麗な光景だがありふれた写真に。変化を加えたい。
水たまりを活かしてリフレクションを表現することで、作品性がぐっとアップします。
小さな水たまりにフォーカスをしても、周りの風景が映り込まず、目的が伝わらない写真になります。
程よい大きさの水たまりにフォーカスをして撮影。周辺の夜景が綺麗に映り、作品性が増しました。
窓が濡れており、全体的にぼやけた印象に。記録写真としても、作品としても中途半端になってしまいました。
窓に溜まる水滴にピントを合わせて撮影。水滴一つ一つに夜景が反射、背景のイルミネーションをぼかして、水滴の美しさと奥行きのある光の演出が際立ち、幻想的な一枚に仕上がります。
背景選びが甘いです。また、露出オーバーでランタンが白飛びして、本来の色が失われています。
構図内では傘の比率を意識し、全体のバランスが崩れないよう調整。背景に広がるカラフルなランタンは大胆にぼかし、水滴の中に映る世界との対比で幻想的な雰囲気を演出しています。傘に溜まる水滴と彩度の高い光を活かすことで、雨の日ならではの煌めきを表現しました。
ライター名 | 夜景写真家 中村勇太 |
プロフィール | 日本夜景オフィス株式会社代表取締役。日本と台湾を取材する夜景写真家。夜景コンサルタント®。夜景情報サイト「夜景FAN」編集長。夜景撮影セミナー講師、ガイド・解説、テレビ・ラジオ番組出演、記事執筆、企画監修等、夜景に関することであれば何でもお任せ下さい。 |
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夜景写真家 中村勇太公式サイト 夜景FAN | 夜景写真家・フォトグラファー 中村勇太 |
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配信日 | 2025年06月24日 13:54 |
更新日 | 2025年06月24日 15:23 |